







ドーナツの起源は古代ローマ帝国にあるといわれています。
スペインの歴史では、8世紀のイスラム教国家の征服からドーナツが徐々に広まっていきます。
ドーナツの原型とされる揚げ菓子は、もともと四旬節の断食前に行う謝肉祭(カーニバル)の食べ物でした。
油で揚げるのは豊かさの象徴であり、祝いの食として重宝されたのです。
フランスでは「脂の火曜日」(マルディグラ)、ポーランドでは「脂の木曜日」の日に、各地の揚げ菓子が食べられています。
また、揚げ菓子はどんな家庭でも作れる点が大衆に好まれました。
現在のお菓子作りに欠かせないオーブンですが、昔は村に一つ、町の修道院に一つあるというような高価なものでした。
揚げ物では油と鍋があれば作ることができます。
食肉文化の欧米では動物性の油が簡単に手に入ります。
植物油が普及する以前は、肉を解体する時に切り出した脂を溶かしたものを揚げ油として使っていました。
スペイン語でドーナツは「ロスキージャ」(Rosquilla)と呼ばれます。複数形でロスキージャス(Rosquillas)。「小さい輪っか」を意味します。
スペインでは油で揚げたものだけでなく、オーブンで焼いた輪っか上の焼き菓子も「ロスキージャス」と呼びます。

ロスキージャ・デ・アニス(Rosquilla de anis)はアニスを使った揚げドーナツです。
小さい頃、おやつに祖母が作ってくれていた思い出の味、とスペイン人に評されることが多いでう。
ふわふわの生地とまぶされた砂糖が特徴です。
材料にレモンの皮とアニス酒を入れるのがスペイン風。
アニスのリキュールは風味付けだけでなく、アルコールによる保存効果、揮発することでふんわりとした食感を作る効果があります。
有名なリキュールメーカー。日本でもAmazonで入手可能です。
レシピはとてもシンプルで、細く練った生地をくるりと輪っか上に丸め、油で揚げて作ります。
マドリードでは守護聖人イシドロ(San Isidro)を祝うため、毎年5月15日前後の数日間で聖イシドロ祭りが開催されます。

祭りの期間中、マドリードの広場にはコンサートや屋台が並び、街は大いに活気づきます。
パレードが行われ、地元の人々は伝統衣装チュロパスを身にまとい、踊りや音楽を楽しみながら祭りを盛り上げます。

そして、この祭りに欠かせない名物が、サンイシドロのドーナツです。
サンイシドロのドーナツは、19世紀末から20世紀初頭のティア・ハビエラ(Tía Javiera)が起源だとされています。
この人物の歴史的文献はなく、マドリードの伝説となっています。
彼女が手製のドーナツを祭りで売ったところ、ドーナツは瞬く間に人気になりました。
周りの屋台も彼女のドーナツの真似を始め、次第にイシドロ祭りの名物お菓子となったのでした。
今から紹介する4つのドーナツは、生地は全く同じもの、トッピングにより名前が異なります。

ドーナツ生地の主な材料は卵、アニス、小麦粉、砂糖で、形成した生地をオーブンで焼くのがこれらのドーナツならでは。カリッとした食感に仕上がります。

ロスキージャス・トンタス(Rosquillas Tontas) は4つの中で最もプレーンで、古いタイプ。この後出てくるドーナツはトンタスにトッピングのアレンジを加えたものになります。
トンタスは「お馬鹿さん」という意味。装飾もない質素な外見から名づけられました。
コーヒーに浸して食べる人もいるそうです。

ロスキージャス・リスタス(Rosquillas Listas)は、トンタスにレモン風味の砂糖がけが施されているタイプです。
リスタスとはスペイン語で「お利口さん」。現在ではコーヒやストロベリーなどのグラサージュが施されるアレンジもあります。

ロスキージャス・サンタ・クララ(Rosquillas Santa Clara)は、トンタスにメレンゲをつけて再び焼いたもの。
こちらは、15世紀世紀にマドリードの修道院で生まれたことが分かっています。

8月の聖クララの日でも食べられるお菓子です。
・ロスキージャス・フランセーズ(Rosquillas francesas)は、トンタスに砕いたアーモンドと粉砂糖をたっぷり振りかけたドーナツです。
これはスペインの昔ながらのドーナツに飽きた18世紀のスペイン王妃バルバラ・デ・ブラガンサの要望により誕生しました。
パテシエがフランス人だったのか、フランス風ドーナツと名付けられます。

聖ブラス(San Blas)は喉の守護聖人。
バスク地方では2月3日の聖ブラスの日には健康を祈りアニスを使ったケーキやドーナツを食べる習慣があります。
この時に食べられるのが「聖ブラスのドーナツ」(Rosquillas de San Blas)です。

このドーナツはアニス酒を入れた生地をオーブンで焼き、さらにアニス風味の砂糖をコーティングします。
バスク地方では聖ブラスを祝ったミサや催しが行われますが、最も有名なのがビルバオのサンニコラス協会です。
教会や教会前の露店では、聖ブラスのドーナツと色とりどりの組紐が売られています。
組紐を9間首にかけた後に燃やすと、その一年聖人が喉を守ってくれると信じられています。

ロスキージャ・デ・アルカラ(Rosquillas de Alcala)はマドリード州アルカラ・デ・エレナ―スのご当地スイーツ。
パイ生地のドーナツに卵黄で作った糖衣が特徴なユニークなドーナツです。
アルカラ・デ・エレーナは16世紀初頭に世界で初めの計画的な大学都市が形成されました。
その都市の繁栄の中で、修道院や菓子店の手によってパイ生地のドーナツが生まれました。
今はマドリード全体で親しまれているお菓子になりました。
ちなみにアルカラはドン・キホーテの作者ミゲル・デ・セルバンテスが生まれた事で有名な街なのです・・・
茨城県のスペイン菓子専門店「ドゥルセ・ミーナ」さんでは、季節限定でロスキージャ・クララとアルカラを販売しているそうです。
日本では珍しいスペインのお菓子を食べれる貴重なお店です!
今回はスペインのドーナツについて紹介しました!
地図にするとこんな感じ↓

このブログでは、世界のクリスマスの文化、日本で食べれる世界のお菓子について紹介しています。
では次回をお楽しみに~